【決算・開示コラム】[配偶者控除~103万円の壁はどうなる?~]

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COLUMN 決算・開示コラム

2016/11/30

配偶者控除~103万円の壁はどうなる?~

公認会計士・税理士の畑中 数正です。

平成29年度税制改正大綱が公表される時期が近づいてきました。
例年、年内に税制改正大綱が公表されています。

さて、配偶者控除についても制度見直しが検討されていましたが、
今回の税制改正では、控除を満額受けられるパート年収の上限を
現行の103万円から150万円に引き上げる方針で
改正案が固まりそうです。

また、150万円を超えても、年収201万円未満までは
段階的に控除を受けられるようにするとのこと。

ただし、配偶者控除が適用できるパート年収額を引き上げる代わりに、
主な稼ぎ手(主に夫)に所得制限を設けることになりそうです。

これにより、主な稼ぎ手の年収が1,120万円(所得900万円)を
超える場合には控除を満額受けられなくなります。

負担急増を避けるため、1,120万円を超えた場合でも
年収1,220万円(所得1,000万円)までは控除額を段階的に
減らす制度を導入するとのことですが、
高所得者世帯では増税になります。

配偶者控除については、
女性の働き方を制限している要因と考えられることや、
専業主婦世帯と共働き世帯の不平等感解消を理由に、
制度そのものを廃止する方向で検討されていましたが、
今回の改正では抜本的な改革は見送られた形となりました。

廃止どころか適用対象のパート年収額が引き上げられたため、
「?」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。

現状ではいわゆる「103万の壁」があり、
実際にはもう少し働ける、働きたいという場合であっても
収入が103万を超えないように
労働時間を調整する女性が少なくなかったため、
配偶者控除が適用できる収入上限を引き上げることで
より長い時間勤務できることになるので、
一定の効果はあると考えられます。

ただ、女性の社会進出を促進するという点では
これまでとさほど大きな違いがないように感じてしまいます。

公認会計士・税理士
畑中 数正

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