【決算・開示コラム】[仮想通貨の不正流出による金銭補償は雑所得]

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COLUMN 決算・開示コラム

2018/04/27

仮想通貨の不正流出による金銭補償は雑所得

公認会計士・税理士の畑中数正です。

国税庁より仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、
預かっていた仮想通貨を返還できなくなったとして
金銭による保証を受けた場合の課税関係が公表されました。

タックスアンサーでは、
日本円による補償金の支払いを受けた場合の補償金が
損害補償金として非課税所得に該当せず、
雑所得として課税の対象となることを明らかにしています。

所得税では、心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い
受ける損害賠償金は対価として支払われるものではないため、
課税の対象とはなりません。
しかし、一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、
本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合に
これが賠償されるときは、非課税にならないものとされています。

顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを
総合勘案して判断することになるとしたうえで、
「一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる
補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、
その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと
同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は
得られたであろう利益を喪失した部分が含まれている」
ことから非課税となる損害賠償金には該当せず、
雑所得として課税の対象となります。

なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額が
もともとの取得単価よりも低額であり損失が生じる場合には、
その損失を他の雑所得の金額と通算することができます。

▼詳細については下記国税庁のウェブサイトをご参照ください。
「No.1525 仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」

公認会計士・税理士
畑中数正

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