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2005/04/17
カネボウ 2,150億円の粉飾決算! (武田雄治)
カネボウが2,150億円にものぼる粉飾決算をしていたことが明らかになった。 以下、概要、思ったことなどつらつらと書いてみた。 ■粉飾決算は1990年代からあったという。 ■旧経営陣に対し、「法的な問題については適切かつ厳正に対処する方針」(カネボウ中嶋会長)。 ■産業再生機構は再建を円滑に進めるため、東証に上場維持を要請した。今回の粉飾発覚は自浄作用の効果であるから、上場廃止にすべきではないとの意見が金融庁内でもあるようだ。 ちなみに、債務超過が2期連続となった場合、一般に上場廃止となる。但し、再生機構が関与する企業に限定して、3期連続まで債務超過になるまで上場維持を認めている。 カネボウの場合、有価証券報告書を虚偽記載したうえ、9期連続の債務超過であったことから、東証が同社を上場廃止にする可能性はある。西武鉄道の場合、大株主の持株比率の虚偽記載で上場廃止になった。カネボウの場合は、財務諸表の虚偽記載、しかも数年間に渡り2,150億円もの粉飾。東証がどういう判断をするのか注目である。ちなみに、東証は、訂正報告書を見てから審査する、といている。 破綻により上場廃止となった後に当局の調査が入り、粉飾が明らかになる場合がほとんどであり、今回のように産業再生機構の支援を受け破綻を免れながら、粉飾決算を明らかにするのは異例。ある機関投資家は、「(産業再生機構は)支援を決めた時点で粉飾の事実と上場廃止のリスクを投資家に開示すべきで順序が逆だ」と指摘している。確かに、支援をする際に詳細な調査をしているはず。粉飾の事実を知っていたのなら投資家に開示すべきだろう。 ■総額2,150億円の粉飾の内容は次の通り。 (1) 意図的な連結はずし (1)については、「興洋染織」など赤字の会社を、債務超過を回避するために意図的に連結から外したらしい。「興洋染織」は、2004年1月に精算した時点で損失処理額は1,000億円を超えていたという。 ■監査は中央青山監査法人が担当 中央青山に対しては足利銀行粉飾事件の際にも、内部管理体制がずさんだとして戒告処分している。 ■中央青山が担当した粉飾決算会社 大阪でフットワークという宅配便が倒産したとき、金融庁は即座に個人の会計事務所を「懲戒処分」にしたが・・・・、中央青山に対しては足利銀行事件の際も「戒告処分」のみ。今回、どういう処分が下されるのだろうか・・・。最近、中央青山が担当する会社の粉飾決算が多いような感じがするけど。 ■過去の粉飾決算事件について |
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公認会計士 武田 雄治