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2020/08/18
新型コロナウイルス感染症の影響による役員給与の改定
公認会計士・税理士の畑中数正です。
新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少で役員給与の減額改定を
検討されている法人もいらっしゃると思います。
法人税上、役員に対する定期給与が期中改定された場合、
次のいずれかの事由による改定でない限り、定期同額給与には該当せず、
改訂前後の差額分は損金に算入することができません。
【定期給与の期中改定】
①期首から3か月以内の改定
②臨時改定事由による改定
臨時改定事由…その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、
その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情
③業績悪化改定事由による改定
業績悪化改定事由…その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化
したことその他これに類する理由
【新型コロナウイルス感染症の影響による役員給与の減額改定】
国税庁から公表されている「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止
への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」では、
新型コロナウイルス感染症を理由として経営状態が著しく悪化したことに
よる定期給与の減額改定は、上記③業績悪化改定事由による改定に該当する
こととされています。
〇FAQで示されている業績悪化改定事由に該当するケース
・業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行
や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況
にある場合
・役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ、客観的な状況から
判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が
著しく悪化することが不可避と考えられる場合
また、新型コロナウイルス感染症による業績悪化のため役員給与の減額改定
した法人が、影響の長期化により同一事業年度において2度目の減額改定を
行う場合も考えられます。業績悪化による減額改定が認められるのは1度のみ
との制限はないことから、2度目の減額改定についても業績悪化改定事由に
よる減額と認められると思われます。
▼詳細については下記国税庁のウェブサイト等をご覧ください。
・国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ
※役員給与の改定については、FAQ「5 新型コロナウイルス感染症に関連する
税務上の取扱い関係 問6、問6-2、問7」に記載。
・タックスアンサー「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
公認会計士・税理士
畑中数正