昨日、日本公認会計士協会で開催された、改正企業結合会計基準の解説セミナーを受講してきました。
「企業結合に関する会計基準」等の改正についての解説 講師:新井 武広氏/村田 貴広氏 「企業結合に関する会計基準」等の改正に 関連する会計制度委員会報告等の改正についての解説 講師:波多野 直子氏?
企業結合会計基準等の改正については、何度か自分でセミナーをやっていましたし、出たばかりの実務指針もかなり読み込んでから参加したので、非常に有意義な時間になりました。
特に、2月24日に公表された実務指針については、かなり疑問点がたくさんあったので、セミナー終了後に講師の方に質問してきました。いくつかご紹介しますね。
(質問①) 公開草案において、「子会社に帰属するその他の包括利益累計額」と記載されていたものが、「子会社に係るその他の包括利益累計額」と変更されていたのですが、どのような理由によるものなのでしょうか?
(回答①) 「?帰属する」という表現は実現した利益に対するものであるため、未実現のその他の包括利益累計額に対しては「?係る」という表現を使用します。 なお、包括利益計算書において、「親会社株主(非支配株主)に帰属する当期純利益」、「親会社株主(非支配株主)に係る包括利益」という表示としているのも、上記理由によるものです。
(質問②) 「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の49-2項において、公開草案では「?(略)?なお、資本剰余金が負の値となり、当該負の値を利益剰余金から減額する処理を行っていた場合には、連結財務諸表上、資本剰余金の負の値として計上し直し、改めて連結会計年度末において当該負の値を利益剰余金から減額する」と具体的に記載されていたのに、公表された実務指針では「?(略)?なお、資本剰余金が負の値となり、当該負の値を利益剰余金から減額する処理を行っていた場合には、連結範囲から除外された後も当該処理は、連結財務諸表上、引き継がれる」という記述に変更されていたのはなぜでしょうか?
(回答②) 公開草案での実務指針の解釈は誤りで、連結財務諸表に関する会計基準30-2項では「?(略)?資本剰余金が負の値となる場合には、連結会計年度末において、資本剰余金を零とし、当該負の値を利益剰余金から減額する」と記載されており、これは、連結会計年度末で金額が確定することを意味しています。すなわち、連結会計年度末において、資本剰余金がマイナスとなり、それを利益剰余金から減額した場合には、翌期以降において資本剰余金がプラスになったとしても、資本剰余金への振替は行わず、利益剰余金から減額し続ける処理となります。よって、連結除外においてもこれを引き継ぐため、公開草案において、資本剰余金をいったんマイナスで引き継ぐというような表現をしていた箇所は、公表段階では排除しています。
なるほど?。いろいろな疑問が解消されて、本当にすっきりしました! こんなマニアックな質問に、嫌な顔せず丁寧に回答してくださった波多野先生、本当にありがとうございます。
ちなみに、実務指針では公開草案に対してどのようなコメントがあり、それに対してどのように対応したかというのは、今までは公開していなかったそうなのですが、今回は、かなりたくさんのコメントがあったので、日本公認会計協会の会計制度委員会としてははじめて、コメントに対する対応を公開したそうです。?「コメント対応表」はこちら
実務指針を考えられている先生方ってすごいですね、改めて、尊敬しました。 これからも影で応援しています!
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